今日は朝の10時に寝て、夕方の5時に起床した。自分でもなぜこんなに生活のリズムが乱れているのかが解らない。解らないといえば、この前友達と外を歩いていると、コンビニの前で今流行のチワワだかミニチュアダックスだかよく知らないけど、とにかく人間の手によって配合されて人工的に作り上げられた体のアンバランスさに違和感以外の何を感じ取ればいいのか聞きたくなるほど気持ちの悪い小型犬が道路標識のポールにつながれてハァハァしていた。

僕は極悪非道を地で行く人間凶器だし、自然界のルールみたいなものを壊す左翼思想というよりはもはや人間のエゴ丸出しのペットブームにはデラ辟易していた。だからそんな犬っころはシカトしてさっさと目的地へ向かって歩みを進めたかったのだが、運悪くそのとき僕と連れ立っていた友達はトリマーを目指しており、三度の飯より犬が好きみたいな犬キチガイであった。

「うわ〜! 超可愛い!」

ポケットに手をつっこんだハードボイルドな僕はその光景を侮蔑的な目で見ていた。すると手にコンビニの袋にティーン誌を2冊ほど詰め込んだ、そろばん玉みたいな体型の怪物が現れた。どうやら飼い主らしい。絶対携帯のボタンを2つ同時に押してしまいそうな凶悪な風貌だった。

友達と犬に関するウィットに富んだトークで盛り上がり出した。そろばん玉もノリノリで答えている。

これはイラク情勢を遥かに超える次元(次元違い)で泥沼化する。

そう悟った僕はこの会話の中に飛び込んでいくのは消防士が化繊のシャツ一枚で轟々と火柱が立っている火事現場に飛び込んでいくことと同義と感じ取ったので、昨日のタモリ倶楽部って空耳アワー何だったっけ? と猛烈に現実逃避しようとした。しかしそうすることは許されなかった。僕は友達が質問したところで背筋が凍りついた。

「名前なんて言うんですか?」
「あ、チカコ。」



「いや、犬の…。」