一人暮らしもかれこれ3年目に入り、バファリンに実際に入ってる優しさぐらいわずかだが料理のレパートリーが少しずつ増えてきた。しかし、一人暮らし故に一つの料理を試すとなると、市販されている食材のボリュームからしても三日間ないし四日間は同じメニューを食べ続けなければならない。こんな日本に誰がした!

趣味は料理という男は女から嫌われるらしい。これは飲み会の席で初対面の女の子に対して「ぶっちゃけオナニーすんの?」とか豪速球でさらに暴投していた僕の友人が言っていたことだ。モミアゲとヒゲとでわけわかんないくらい毛に覆われた赤ピーマンみたいな顔を持つ僕の友達がその毛むくじゃらにも程がある顔で自慢げに吹聴していたのだ。まず毛を剃れ!

話が剃れ・・・それたが、とにかく今日までの四日間、豚のネギ塩焼きを食べ続けていたんだ。世の中には自分でやってみて初めてわかるという類いの事柄が数限りなく存在しているのだが、この『豚のネギ塩焼きTM』もそのうちの一つだ。

この料理は予想以上にネギを消耗する。

食材を買いに行ったときにいつもは3本セットという、ジャパネットたかたヨロシクでセット販売されているお得なネギが、なぜかその日に限って某ダイエーでは2本セットという守銭奴丸出し状態だったので「まぁいいか」と根拠が無いにも程があるほどの認識でその2本しか買わなかった。認めよう。僕は平和ボケしていた。誰か殴ってくれ。

つまるところ今日作ろうと思ったらネギが足りなかった。実を言うと僕も馬鹿じゃないので昨日の時点でネギをほとんど使い切ったことにより「明日のぶんのネギは無いだろう」という絶望的事実に基づく壊滅的打撃を予想してはいた。しかし「まぁ明日のことは明日考えよう」という楽観的観測によりその問題を完全にスルーしていたのだ。やっちまった。こんな認識の薄さでこれから足を踏み出そうとしている社会の荒波を乗りこなせるわけがない。オレオレ詐欺とか余裕でひっかかる。もうダメだ。誰か養ってくれ。あとネギも買ってきてくれ。