明日は会社説明会と筆記試験がある。朝は10時から夕方16時頃まで缶詰という監獄みたいなスケジュールだ。いやちょっと待て、僕はまだ皆が血眼になって参加している説明会とかマナー講習、講演会といったいわゆる「就職活動」の類いには一切参加していない。それにも関わらずいきなり筆記試験を伴う説明会に参加するなんてどう考えても色んなステップを飛ばし過ぎじゃないだろうか? これじゃあ、荒野で捕まえた黒い馬に素っ裸で騎乗し、戦車の大群にまさしく裸一貫で突っ込んで行くランボー(怒りのアフガン)レベルではないか。ただランボーにはそのゴム毬みたいな筋肉と戦場での圧倒的な経験がある。僕は…何一つとして無い。無さ過ぎて死ぬくらい無い。

そう! 自分は特筆すべき点は何一つ無い。ナイナイ尽くしの無能人間なのだ。それにも関わらず説明会。その後に行われる筆記試験に挑もうなど、怒りのアフガンどころの騒ぎじゃない。弾丸やナイチンゲールが飛び交う戦場を、幼児が横断するようなものだ。それだけならまだしも、おむつはゆるゆるの状態。「バブー」とか「まんまぁ〜」とか言いながらサイドギャザーから離乳食が色だけ変えたような軟質なウンコを垂れ流している。

まさにサバイバルである現代社会に対する僕の精神年齢とか脳みその発達レベルはそれくらいだ。せいぜい頑張ったとしても、ゆり組レベルだろう。

更に最大の難関が待ち受けている。

明日、起きれるか、どうか………。

そう、いくらここで説明会だ、筆記試験だとマウスを片手に大騒ぎしたとしても、明日の朝!起きて!電車に乗って!目的地に時間内に行かなければ何の意味も無い!! これまでの全ては無となってしまうのだ。何と言うハードルの数々。なんという高き峰の連続なんだ!! エベレスト、チョモランマ、エベレスト、チョモランマ。あ、「全て」とか言ってこの説明会のためにスゲー用意してきたみたいに言ってスイマセン。本当は何もしてません。


さらに悪条件だらけだ。今日は夕方4時に起き、それから今まで食事すら取らずに『メタルギアソリッド3』に興じていた。前作を遥かに凌ぐ面白さ!! CQCシステムによる迫力の近接戦闘!! キャラクター達の個性が混じり合い、壮大なスケールで描かれるメタルギアの世界!! やべ、突っ走り過ぎた。こんなことをほざいてるとドンドン睡眠時間が減るじゃないか。

とにかくそんな感じで生産性ゼロの世界で自己を堕落させることに没頭し、またそれを正当化していた。言い換えれば起きてから今までの時間をせっせとドブに捨てていたということになる。時間の無駄だということは承知の上だ。いくらスネークがEVAとEカンジになったところで、僕に何一つメリットは無い。時間を無駄にしている分デメリットしかない。いくらスネークをテクニカルに操れようともそれは何の財産にもならない。でもヤメられない。麻薬だ。

よし、キメた。俺キメたよ母さん。キリがいいとこで終わりにする。でも途中で投げ出すのは良くないな。そう、キリがいいとこで、あと15分、あと15分、あ、今は2時2分か。じゃあ、キリがいいところで2時15分までにしよう。

あ、やべ、3分過ぎてた。じゃあ2時半にしよう(以下ループ)。

明日の朝も目覚ましのスヌーズ機能とこの戦いを繰り広げることになるかと思うと頭が痛い。現実と布団の温もりの間で僕は今まで何を得たのだろうか。答えは簡単だ。得たものなど何一つ無い。あるときは必修科目の試験を寝過ごして単位を失った。もういい加減に、朝! 起きろ! 俺!! 

あ、2時31分だ。45分までゼルダやって、風呂入って、そんで……